激突!  


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■あらすじ■
平凡なおじちゃんがただわけもなくタンクローリーに追いかけまわされるお話。

・・・と簡単にあらすじ書いてしまいましたが、本当にそれだけなんです。
それだけなんですが、傑作です。

すごい昔に見て以来もう何度も繰り返し見ていますが、怖いしおもしろいんです。

おとぼけ課長ムードむんむんの主人公はたった1回タンクローリーを追い越したばっかりに、その後えんえんと追いかけっこが続きます。
タンクローリーの運転手の描写は、窓から「追い越しな、あんちゃん」とのぞく太くて毛深い腕や、ガソリンスタンドで見せたカウボーイちっくなジーンズと革靴だけ。
相手は「ザ・カー」のような悪魔でもモンスターでもなく、人間なんだという恐怖感。

「人間だもの」と話し合いで解決しようとおじちゃんは考えます。
カフェのカウンターにずらりと並び、思い思いに昼食をとるドライバーたち(ドライバーなのにビール飲んでます。いい時代ですね)
「誰なんだ・・・この中にいるはずだ」
チロチロっと足元をチェックします。ガソリンスタンドで見かけた足元を。
若い頃のブルース・ウィリスに似たあんちゃんがおもむろに立ち上がりチーンと勘定を済ませます。
「こいつか?」と目で追うと、そのあんちゃんは愛しそうにあのタンクローリーを撫でまわしながら・・・・「やっぱりこいつか!?」・・・タンクローリーの向こう側に止めてあった小さなトラックに乗り込んで行ってしまわれました・・・。
おじちゃんはすかさず店内に視線を戻しまたひとり目星をつけますが、見事にはずれボッコボコにされます。
おじちゃんはあくまでもおとぼけ課長なんです。

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その後もさんざん追いかけっこをして「もういやーーー」とばかりにひっそり身を隠します。
「なんて散々な一日なんだ・・・。ワイフになんて言って話してやろう・・・。」
周りに静けさがおとずれます。おじちゃんは車中でお昼寝。時間が流れます。もういいだろう・・・とばかりに車を発進させます。

すると・・・・

待ってるんですよ・・・・

あわてふためいてキキーーっと止まるおじちゃんの様子を、タンクローリーのタイヤとタイヤの間からズームして撮って、その後引いてタンクローリーのボディを映すというこの撮り方。
うまいなあ~~~さすがスピルバーグだ・・・。申し遅れましたが監督はスティーブン・スピルバーグです。かなり初期の作品ですが、彼の才能が満ち溢れています。


「あとは殺るか殺られるか・・・」
意を決したおじちゃんは、サングラスをはめ、シートベルトをきちんと締め、アクセルを踏み込みます。
「おとぼけ課長」が「戦う男」に変わった瞬間です。
相手はタンクローリーだ、登り坂なら負けんわい・・・とぐんぐん坂を上っていきますが、前半ガソリンスタンドで忠告されていた通りラジエーターが悲鳴をあげだし煙がもくもくと。
「早よお、早よおせんかい!!」
でもヒューーーンとスピードメーターが落ちていきます。
(昔アメリカがマイル表記だということを知らなくて「70?80キロ??遅い追いかけっこだなあ」と思っていたのだけど、マイルだったのね・・・。)

「どうする、オレ。どうする!?」

ラストのズン、ズン、ズンというおじちゃんのアップ。「ジョーズ」のラストのロイ・シャイダーみたいでかっくいい~~。
タンクローリーめがけておじちゃんは車を発進。アタッシュケースにアクセルをまかせ、自分はまるで「西部警察」の渡哲也のように半分車から体を出し、そして飛び降ります。おじちゃん、素晴らしいアクションです!おじちゃんの車とタンクローリーが激突し、火を吹きながら2台の車は崖からまっさかさまに落ちてゆきます。
タンクローリーが悲鳴をあげています。落ちてゆきます。落ちてゆきます・・・。

「やったーーー!」と子供のように喜びはしゃぐおじちゃん。彼の長い1日が終わりました・・・。
夕日とともにあたりに静寂が満ちてゆきます。タンクローリーの運転席にあったのであろう小さな扇風機がカタコトと回っています。おしまい。

シンプル・イズ・ベストなこの映画。撮影期間は10日間くらいだったそうです。特にカメラワークは逸品。音楽もヒッチコックみたいで怖さを倍増させてくれます。
映画とは「娯楽」なのだ・・・と改めて実感してしまう傑作です。

Youtubeの予告編です
・・・電話ボックスのシーンでスピルバーグが映ってしまっています。

b0093261_1495454.jpg「おとぼけ課長」


「激突!」
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by fonda127 | 2007-12-07 14:02 | 映画 ▲Top
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