セブンス・コンチネント  


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私の「ハネケたんマラソン」もとりあえずの終焉をむかえました。
今日鑑賞した「セブンス・コンチネント」、個人的には今まで見たハネケたん映画の中で一番好きです。一番わかりやすいといいますか・・・

好きな順番は、
「セブンス・コンチネント」
「ファニー・ゲーム」
「隠された記憶」と「ピアニスト」はどっこいどっこい
「ベニーズビデオ」

こんな感じです。
ハネケたんはこの「セブンス・コンチネント」がデビュー作なのですが、デビュー作にして掟破り全開です。
デビッド・リンチのデビュー作「イレイザーヘッド」に勝るとも劣らない天才っぷり・・・それは、
デビュー作にして最終兵器なところ。

※ネタバレあります

ある平凡な一家の淡々とした日常をカメラは追います。
その撮り方がおもしろい。
人物を映さず、車やドアノブ、お母さんの下履き、ハブラシ、コーンフレーク、電話・・・日常生活で活躍する「物」たちをFIXショットで見つめます。
この撮り方・・・キライじゃないです。むしろ大好物と言ってもいいくらい。そして絶妙な「緊張感」がひしひしと伝わってきます。

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お母さんが部屋で履いているスリッパ。何気にかわいい。


この映画は「数字」であふれています。
冒頭の車のナンバープレート、目覚まし時計、レジのお金の合計表示、電話のダイヤル、お父さんの会社の書類・・・ついつい目で追ってしまいます。

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スーパーのレジのおねえさんのものすごい仕事っぷりは神業。


淡々とおくる毎日・・・お父さん、お母さん、ムスメは“静かな絶望”をかかえて生きているよう。
昨日、今日、明日・・・昨日、今日、明日・・・・
そんなファミリーが一家心中をするお話なんです、この映画。

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ちなみにこの映画は“洗車シーン”がよく出てきます。“洗車機の中の車の中にいるシーン”が。
洗車大好き一家です。
洗車のしすぎで死ぬことを決めたんでないの?と思ってしまうくらいよく出てきます。
洗車機の中の車の中・・・って、独特な“閉塞感”があると思いませんか?
車の外は嵐みたいにエライことになっているのに、車の中は不気味な静寂・・・この家族はコレにやられちゃったんでない?お母さんなんて泣きだすし・・・

ファミリーは死ぬことを決意し、“死への準備”にとりかかります。
①ファミリー、おじいちゃんおばあちゃんに会いにいく
②お父さん、新聞の配達を止める
③お父さん、会社をあっさり辞める
④お母さん、“最後の晩餐”用に大量の高級食材を買い漁る
⑤お母さん、薬を医者から処方してもらう
⑥お父さん、デストロイヤーグッズ(チェーンソー・のこぎり・トンカチなど)の大人買い
⑦お父さん、お母さん、銀行ですべての預金を下ろす
⑧お父さんとムスメ、車を売りにいく(その前に大好きな洗車をする)
⑨お母さん、ムスメの学校に「風邪をひいたから休ませます」と電話する

後半30分、えんえんと続く家財の破壊行為・・・ここで具合が悪くなる人多数(かも)

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衣服を切り裂き、レコードを割り、家具を壊す・・・えんえん続きます。
このファミリーにもはや“ためらい”とか“躊躇”という言葉はいっさい当てはまりません。
ムスメまでも思い出の絵本や自分で描いた絵を破りまくります。
水槽を壊して、お魚さんたちが死んでゆく姿をじっくり捉えるシーンはさすがにツライです。
だって本当に死んでゆくんですもん。あんたたち(ハネケたんたち)はええよ、なんだかんだリアルな映画作ってるけどしょせんフィクションですもん。
「ベニーズビデオ」でもブタちゃんが殺されてたけど、動物を殺すのだけはやめてほしい。そこだけは本当に嫌悪感でいっぱいになる。


ファミリーは“第7の大陸”を求め、死んでゆきます。
ここではない、どこかへ・・・
たどりつけたのかなんてわからない。
死のうとした理由だってわからない。
そこには“過程と結果と事実”が枯れ葉みたいに舞っているだけ・・・
しょうがないよね
だってハネケたんは
「あとは自分たちで考えてね」方式の
丸投げ大魔王なんだもん。


「ハネケマラソン」終わりました。
度肝を抜かれる作品の数々・・・映画の持つ「可能性」の枠を一気に広げたハネケ作品。
凹みます・・・凹みますとも
でもひさしぶりに「息を呑める」「固唾を呑める」映画にめぐりあえたような気がします。
ハネケたん、天才!!
これからも凹ませる映画をびしばし作ってほしいです。

「セブンス・コンチネント」
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by fonda127 | 2007-10-26 22:30 | 映画 ▲Top
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