ヴェラ・ドレイク  


b0093261_21462265.jpg1950年、舞台はロンドン。
ヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントン)は普通の主婦。
裕福な家庭の家政婦の仕事をやったり、体の具合が悪い自分の母親や隣人たちの身の回りの世話を焼いたりしながら暮らす、常に笑顔を絶やさぬ女性。
愛する夫や2人の子供に囲まれ、平和な日々をおくっている。

そんなヴェラだが、家族にさえ打ち明けたことのない“秘密”があった。


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ヴェラは堕胎を望む女たちに中絶処置を施す、ヴェラの言葉でいう『助け』をしていたのだ。
この時代、人口中絶は法律で認められておらず、たとえ医師の許可が下りても多額の医療費がかかり、庶民は支払うことができなかった。
ヴェラの施す中絶処置とは、注入器を使って子宮内に石鹸水を入れ、翌日に流産するのを待つという原始的かつ、危険を伴う処置だ。

b0093261_22161173.jpgそんなある日、ヴェラの『助け』を受けた少女の容態が急変し、病院へ担ぎこまれた。
医師はその少女が中絶処置を施されていたことを知り、警察へ通報する。
警察はヴェラの家の扉を叩く。
その日はヴェラにとって特別な夜だった。
ヴェラの娘が結婚することになり、ささやかながら家族でパーティーを開いていたからだ。
突然の事態に動揺を隠せないヴェラと、何も知らない家族たち。
雪が舞う中、署へ連行されていくヴェラ…。


b0093261_22291585.jpgこの映画の監督はマイク・リー。
『秘密と嘘』『人生は、時々晴れ』など“家族の絆”をテーマに国際的にも高い評価を得ている監督だ。
“リアリティー”を追究するマイク・リーは、“脚本”を持たず、俳優たちに自分たちの言葉で即興で演技をさせるという、独特の演出方法を確立した。

今回のこの映画も出演者たちは自分が演じる役柄以外は何も知らされておらず、7~8時間に及ぶリハーサルは、はらはらするようなすばらしい即興劇になったそう。
私はこのマイク・リー監督作品がとても好きで、今までいろいろ観てきた。
普遍的な人生のテーマである“家族愛”の描き方、キャストたちの日常の描き方がとても地に足がついていて、例えばこの映画のように主人公が罪を犯す重たい題材を動かしながらも、作品全体を包む空気はとても穏やかで、落ち着いて鑑賞することができる。
それは映画作りの底辺にある土台が頑丈であるがゆえの賜物だろう。
今後の彼の作品もすごく楽しみだ。

「ヴェラ・ドレイク」
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by fonda127 | 2006-06-21 23:04 | 映画 ▲Top
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